温熱療法(ハイパーサーミア)とは


温熱療法(ハイパーサーミア)とは、がん腫が熱に弱いという性質を利用して、腫瘍を縮小させようとするものです。

病巣部を中心に体表から対の電極板ではさみ、ラジオ波によって発熱を起こすことで選択的に局所深部の加温が可能となります。日本においては、1980年代初頭から温熱療法が実施されていますが、加温部以外のがん細胞の縮小効果があるケースが報告されるようになり、免疫と温熱療法の研究が進められ、熱ショック蛋白の作用が解明されてきました。

正常な組織は、加温されても血管を拡張させ、血流を増やして熱を逃すことができるため、高温にはなりません。
がん細胞は急速に成長する際に、自ら新生血管を増やし、そこから酸素やエネルギーを取り込んでいます。この新生血管は通常の神経支配を受けていないため、高温の環境下におかれた場合、正常な組織のように血管を拡張して熱を逃がすことができず、容易に高熱となります。

高温にさらされたがん細胞には、熱ショック蛋白が誘導され、異常な蛋白質からなるがん抗原と結合し、がん細胞の膜表面上の主要組織適合抗原の発現効率を高めたり、樹状細胞の熱ショック蛋白レセプターを介してがん抗原の取り込み効率を高め、Tリンパ球への抗原提示効率を高めることで、抗腫瘍効果が誘導されることがわかっています。

温熱療法のいいところ

温熱療法(ハイパーサーミア)は直接がん細胞を壊死させるほかに、次のような重要な役割があります。

◎加温により免疫の活性化を促します
温熱療法を行うことで、病巣および周囲組織の温度が39~42℃近くに上昇し体内の免疫(NK細胞、樹状細胞、キラー細胞、マクロファージなど)が活性化して、がん細胞に対して攻撃性を発揮します。

◎制御性Tリンパ球の抑制
制御性Tリンパ球は、自己抗原に対する過剰な免疫応答を制御する役割を担当しており、アレルギー・腫瘍免疫・感染症免疫に対し抑制的に働きます。がん患者さんは腫瘍が進行するとともに、制御性Tリンパ球が増加し、攻撃担当細胞であるキラーTリンパ球やNK細胞などに抑制をかけ、その機能を弱らせてしまいます。そのため、免疫療法の治療効果を上げるには、この制御性Tリンパ球をコントロールすることも必要となります。
近年では、温熱療法が制御性Tリンパ球の働きを抑えることができることもわかってきました。

◎温熱療法はほとんど副作用がありません
従来のがん治療のような副作用がほとんどないので、身体に負担をかけず、何度でも治療を受けることができます。

◎生活の質(QOL=Quality Of Life)が向上します
がんによる痛みの穏和、食欲増進、体力回復、気分が良くなるなど、生活の質が向上します。がん治療のために今までの生活を犠牲にすることなく、本来の生活や仕事と、がん治療を両立することが可能です。

◎がん組織への薬剤の取り込みを良くします
薬剤治療と温熱療法を併用すると、がん組織への薬剤の取り込み量が上昇することから、薬剤の効果を一段と高めます。

◎放射線治療の効果を増強させます
温熱療法を併用することによって、放射線効果を更に高めます。

◎日帰り治療が可能
治療のために入院をする必要がなく、日帰りで治療することができます。副作用や治療後の負担もほとんどなく、治療後すぐにお帰りいただくことが可能です。

>>温熱療法・温熱免疫監視療法の副作用、抗がん剤との併用

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