栄養素が不足したり過剰になったりすると様々な症状を来すことは皆さんもよくご存知のことと思います。実は、栄養素が問題になるのは過不足症だけではなく、栄養素の質の変化によっても体に不利益が生じることが解っています。

私たちの身近に存在する癌、アレルギー、動脈硬化やアルツハイマー病などもこれらの栄養素の影響を受けていることが解っています。

最近よく耳にするメタボリック症候群(通称メタボ)は過剰なエネルギー(主に炭水化物と脂質)摂取により脂肪細胞に過剰な中性脂肪を蓄えてしまうことで肥満化した脂肪細胞が大量の皮下脂肪と内臓脂肪として蓄積を来し、これらの肥満脂肪細胞から炎症性活性物質が産生されることで全身に慢性の炎症を引き起こし、やがて動脈硬化や癌、アレルギーを発症してしまいます。

炭水化物の過剰摂取により高血糖状態が繰り返されることで、正常細胞の3倍〜8倍のブドウ糖をエネルギーとして利用しているガン細胞が増殖してしまったり、膵臓からインスリンというホルモンが大量に分泌され高インスリン血症状態が続いていると発癌のスイッチが入ってしまったり、インスリンが成長因子として働いて癌の増殖を促進してしまうことが解っています。

摂取する脂質のバランスの異常(動物性脂肪に多く含まれる長鎖飽和脂肪酸と植物性脂肪に多く含まれる不飽和脂肪酸中のオメガ6脂肪酸の過剰摂取)からも慢性炎症が引き起こされ、癌、アレルギー、動脈硬化やアルツハイマー病を発症してくるともいわれているのです。

酸化してしまった脂質(何度も繰り返し使用した油は最悪)や高温(揚げる、焼く)下でタンパク質と炭水化物から生成されるアクリルアミドを代表とする終末糖化産物、マーガリンなどの硬化油に含まれるトランス脂肪酸など自然界に存在しない物質が動脈硬化やアレルギー、アルツハイマー病の原因になるともいわれています。